"なのはとユーノとヴィヴィオと"


「なのは、久し振り」
「ユ、ユーノ君!?」
「……?」

 自室のベットに腰掛けてヴィヴィオの相手をしていたなのはは、思わぬ来客に驚く。
 ヴィヴィオは見慣れない人を目にして怯えたのか、すぐさまなのはの後ろに隠れた。

「ユーノ君、どうしたの?」
「ちょっとはやてに用事ができてね、折角だから会いに来たんだ。お邪魔だったかな?」
「そ、そんな事ないよ! ……来てくれてありがとう、ユーノ君」
「そう、なら良かった」

 顔を真っ赤にしながらも微妙に思い切った発言をしてみたなのはだが、ユーノはいつもの笑顔で純粋に返しただけ。
 その事になのはは少しがっかりしつつも、先程からなのはの背中に隠れたままのヴィヴィオを紹介しようと考えた。
 本当はもっと早くユーノに会わせてあげたかったけど、ユーノもなのはも毎日忙しいので、中々そういう機会がなかった。
 そう考えると、今日ユーノが訪ねてくれたのはとても幸運だった。
 まぁなのはにしてみれば、ユーノに会えただけで十分嬉しかったりするのだが。

「ほら、ヴィヴィオ。隠れてないで挨拶は?」
「?」
「……」
「……」

 恐る恐る顔を出すヴィヴィオを見て、ユーノは少しの間、ヴィヴィオをじっと見つめていた。
 どうやら何かを考え込んでいるらしい。なのははちょっと心配しつつも二人を見守る。

「えっと……なのは。この子は……?」

 その沈黙を破って、ユーノは少し戸惑いがちになのはに尋ねてきた。

「この子はヴィヴィオ。ちょっと訳ありで、今は私が預かってるんだ」
「そ、そう……」

 どこかホッとしたようなユーノは、一つ息を吐いた。
 もしかして、隠し子だと思ったのかな?
 説明不足だった事に反省しつつも、なのはは少し嬉しかった。
 ヴィヴィオを見てそう思ったのだったら、ユーノはなのはの事が……。
 そんな事を悶々と考えていると、ユーノが微笑みながらなのはの方に歩み寄って来た。
 それを見て少しドキッとしたなのはだったが、ユーノは背を屈めてヴィヴィオと目線を合わせていた。
 ……ちょっと残念。

「ヴィヴィオ、はじめまして」
「……」
「怖がらなくても平気だよ」
「……」
「ほら、ユーノ君に挨拶しないと」
「ぁ……」

 怯えて出てこないヴィヴィオを見て、なのはは体をずらす。
 ヴィヴィオを隠していた背中がなくなり、ヴィヴィオは小さな声を漏らしてユーノと向き合った。

「大丈夫、怖くないから、ね?」

 そう言うと、ユーノ君が優しくヴィヴィオの頭を撫でている。
 うぅ……ヴィヴィオが羨ましいよ……。

「……ぱぱ?」
「「 へ? 」」

 ユーノの顔をじっと見つめていたヴィヴィオだったが、微かに口を動かして呟いた。
 それを聞き取ったなのはとユーノは、目を点にして随分と間の抜けた声をあげてしまっていた。

「ぱぱ〜!」
「うわっ!?」
「にゃ?!」

 と、ヴィヴィオが今度ははっきりと言い切って、凄い勢いでユーノ君の胸に飛び込んで……ってえええ!?
 ユユユユユユーノ君にだだだだだ抱きつくなんてーーーーー!?←パニック中

「ヴィ、ヴィヴィオ?」
「ぱぱ、いいにおいがする……」
「な……な……にゃ……ユ、ユーノ君!」
「なのはもどうし……ってうわぁっ!?」

 思考回路がしっかり働いていないのか、それともただ単にヴィヴィオに嫉妬しているのか。
 もう自分が何を考えて何をしようとしているのかすらわからないなのはは、耳まで真っ赤にしつつもユーノに抱きついた。
 それを慌てて受け止めるユーノだが、予想外過ぎる事態が続いて対処し切れず背中から倒れ込んだ。
 とはいえ伊達に無限書庫司書長はやっていないユーノは、ギリギリでフローターフィールドを展開して衝撃を和らげる。

「な、なのは、落ち着いて……」
「ぁっ……、……〜〜〜っ」
「ぱぱ〜まま〜」

 もう全身真っ赤で頭からは本気で煙が出そうななのは。
 いくら頭がしっかり働いていなかったとはいえ、これは流石に恥ずかし過ぎた。
 ヴィヴィオは二人に抱き締められる形となり、幸せそうに目を細めてユーノの胸に頬を擦り寄せている。

「ご、ごめんなさい!」
「い、いや……。それより、どこか打たなかった?」
「え? ……うん、大丈夫……。ありがとうユーノ君……」
「ぱぱとまま、おかおがまっかだよ?」
「あうぅ……」
「あ、あはは……」


「……帰ろか……フェイトちゃん……」
「……そうだね……」

 ちなみに、ユーノになのはと会うよう仕向けたはやては、途中でフェイトを拾ってずっと覗いていた。
 ……のだが、あまりにもなのはに女として先を越されてしまった事に滅茶苦茶落ち込んでいる。
 フェイトもフェイトで、はやてと同じく落ち込みまくっている。
 更にフェイトは一応、ヴィヴィオのもう一人の母親でもあるので、余計に複雑だった。


 その後、六課の隊舎内からは、

「うわああああああん!! ゆーのぱぱにあいたい〜〜〜〜!!」

 という、隊舎が揺れる程の泣き声が良く響き渡る事になるのだが、それはまた別のお話。




あとがきらしきもの

やっちまったぜベイベー!?
だが後悔はしていな(SLB
ん〜む、どうも泣き声でしっくりくるのがなかった……。
てかヴィヴィオ殆ど喋ってないなぁ……、まだ性格掴み切れて無いからかな_○__
全体から変な感じがしますが、そこは華麗にスルーしt(ry

びみょ〜に変更
ヴィヴィオのセリフをひらがなで統一した方がしっくりきたのでそうしときました(殴


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