"アースラ"艦内魔法修練場多目的空間 12月1日 時刻6:07


 《Arc Saber》
 「はぁっ!」

 バルディッシュから魔力刃が放たれ、回転しつつに襲い掛かる。

 「ちっ、!」
 《Aggressive Break!》

 の刀身に魔力を集中し、飛んでくる魔力刃を斬りつける。

 《Saber Blast》

 が斬りつけた瞬間に魔力刃が爆発し、が爆煙に包み込まれる。

 《Photon Lancer Multishot》
 「撃ち砕け! ファイアッ!」

 フェイトの周囲にフォトンスフィアが生成され、爆煙に包み込まれているに向けて放たれる。

 《Edge Move》
 「だあああああ!!」
 「っ!?」
 《Defensor》

 突如フェイトの後ろにが現れて斬りかかり、バルディッシュが自動防御を発動させる。
 しかしそれは簡単に破られてしまい、の蹴りを受けてフェイトが吹き飛ばされる。

 「ターン!」
 「!」

 フェイトが吹き飛ばされつつ先程放った魔力弾を反転させてを狙う。

 「くっ……っ!」

 それを体を捻って回避し、フェイトに視線を戻すと彼女は砲撃魔法を放とうとしていた。

 「撃ち抜け! 轟雷!!」
 《Thunder Smasher》
 「くそ……!」
 《Fortification》

 フェイトから放たれた金色の光条をの魔力障壁で受け止める。
 強力な雷を纏った魔力砲撃が魔力障壁と接触し、その衝撃が空間を揺るがす。

 《Blitz Action》

 撃ち終わり、その衝撃での体勢が崩れたのを確認したフェイトが一気に得意の接近戦に持ち込む。

 「ちぃっ……」
 《Scythe Slash》
 「はあああ!!」
 「!」
 《Fortification!》

 が魔力障壁を発動し、フェイトの魔力斬撃を防ぐ。
 魔力を追加され強化された障壁と、バリア貫通能力を付与された魔力刃が接触して反発し合い、強力な衝撃がを襲う。

 『く……あれ、使えるかな?』
 『やってみるしかないわね』
 『よし!』

 の本体に魔力を込め、その周囲に三つの白銀色をした長球体の魔力弾を生成する。

 「!」
 「撃ち落とせ!」
 《Force Bulitt!》

 の周囲に生成された三つの魔力弾が円を描くようにフェイトの後方に回って突進する。

 「くっ……」
 《Round Shield》

 三つの魔力弾が次々とフェイトが展開したシールドに直撃する。

 「これで!!」

 がその隙を突いてフェイトの斬撃を受け流す。

 《Fiercely Penetrate!》
 「……っ!」

 でフェイトの展開したシールドを貫通し、フェイトの喉元につきつける。

 『そこまでだ』
 『二人とも、お疲れ様』
 『コントロールルームに転送するからそこにいてね』
 『……うん』
 『わかった』

 クロノ・ユーノ・エイミィが念話で知らせ、フェイトとが答える


 "アースラ"艦橋 同日 時刻6:35


 「管理局本局へのドッキング準備、全て完了です」

 アレックスが状況を伝える。

 「ん、予定は順調、良い事ね」

 それを聞いて、どこかほんわかした感じで答えるリンディ。

 「失礼します、艦長。 お茶のおかわりいかがですか?」

 エイミィがお茶好きのリンディにおかわりを薦める。

 「ありがとうエイミィ、頂くわ。 本局にドッキングして、アースラも私達も、やっと一休みね〜」
 「ですね」

 つい先程まで、アースラは立て続けに任務をこなし、ようやく本局へ戻ってきたところであった。
 といっても、この艦にはAAA+が二人、AAAが一人、さらに結界魔導師としてAAAが一人とAA+は確実な使い魔すらいるので、
 大抵の任務は他の艦では困難でもこの艦でなら楽に終わらしてしまっている。
 ……まぁ、他の艦からの苦情は耳にタコができる程日常茶飯事にきているのだが。

 「子ども達は?」

 リンディがお茶に角砂糖四つとミルクを入れながらエイミィに尋ねる。

 「今は、五人で休憩中のはずですよ。
  君とフェイトちゃん、さっきまで戦闘訓練してましたし、クロノ執務官とユーノ君、アルフもそれに付き合ってましたから」
 「そう? 明日は裁判の最終日だっていうのに……マイペースねぇ。 ん? はい」

 そう言ってものすんごく甘そうなお茶を普通に飲み、添えてある二つのようかんを見て、一つをエイミィに渡す。

 「まぁ、勝利確定の裁判ですから」

 ようかんを受け取り、満面の笑顔で答えたエイミィだった。


 "アースラ"艦内食堂 同日 同時刻


 先程まで任務に就いていた大勢の局員達がいる食堂の一角で、場に不釣合いな五人が談話していた。

 「さて、じゃあ最終確認だ。 被告席のフェイトは、裁判長の問いに、その内容通りに答える事」
 「うん」
 「今回はアルフも被告席に入ってもらうから」
 「わかった」
 「で、僕ととそこのフェレットモドキは証人席、質問の回答はそこに書いてある通り」
 「うん、わかった。 っておい!!」

 ユーノが机を叩いて怒る。

 「なんだ?」
 「誰がフェレットモドキだ! 誰が!?」
 「君だが……なにか?」

 ユーノの頭の中で動物形態の時の自分と人間の姿の自分が=で結ばれる。

 「うあぁ……! そりゃ! 動物形態でいる事も多いけど! 僕にはユーノ・スクライアっていう立派な名前が!!」

 ユーノが体全体を使って抗議する。

 「ユーノ、まぁまぁ……」
 「クロノ、あんまり意地悪言っちゃだめだよ……」
 「ぷっ……アハハハハハハハハハハハッ」
 「も笑うなーーー!!」
 「ご、ごめんごめん、つい……」
 「大丈夫、場を和ませる為の軽いジョークだ」
 「んぐぐぐぐぐぐっ!!」

 ユーノが目をひん剥いてクロノを睨み、アルフがそれをなだめては笑いを堪えている。

 「事実上、判決無罪……数年間の保護観察という結果は、確実と言っていいんだが……。
  一応、受け答えはしっかり頭に入れておくように」
 「「 はい 」」
 「……はい……」
 「わかった」


 "アースラ"艦橋 同日 6:51


 『お疲れ様、リンディ提督。 予定は順調?』
 「ええレティ、そっちは問題ない?」
 『う〜ん……ドッキング受け入れと、アースラ整備の準備はね』
 「え?」

 クロノがリンディに報告しようと艦長席に近づく。
 が、耳に入ってきた話し声の内容に足を止める。

 『こっちの方では、あんまり嬉しくない事態が起こってるのよ』
 「嬉しくない事態って?」
 『ロストロギアよ。 一級捜索指定がかかってる超危険物。
  いくつかの世界で痕跡が発見されてるみたいで、捜索担当班はもう大騒ぎよ』
 「そう……?」
 『捜査員を派遣して、今はその子達の報告待ちね』
 「そっかぁ〜……」
 「……」


 "アースラ"艦内フェイト私室 同日 同時刻


 フェイトが自室に入り、机の上に大切に置いてある写真とディスクを見つめる。

 『フェイト、入るよ』
 「あ、うん」

 が念話でフェイトに話しかけ、了承を得ると中に入る。

 「ごめんね、今日の戦闘訓練の事なんだけど……あぁ、なのはから届いたんだ」
 「うん……なのはとアリサとすずかから……」
 「そっか、あれからもう半年になるのか〜」
 「そうだね……」
 「ま、明日の裁判が終わればなのは達にも会えるし、もうちょっとの辛抱だね」
 「うん、早く会いたいな……」




 あとがきらしきもの

 優「という訳で始まりました深淵の種Uでございます」
 フェ「今回は最初から原作沿いなんだね」
 優「まぁね〜」
 ク「ていうかなんのまとまりもないな」
 優「う……それを言わないで下さい……」
 「とりあえず、新連載開始なので応援よろしくお願いしますね〜」


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