時空管理局本局内通路 時刻0:42 本局内のとある通路で、一人の少年が辺りをキョロキョロしながら歩いていく。 見るからに迷子だが、もう深夜になっている所為か周りに誰もいない為、道を聞こうに聞けない。 「……、ここどこ?」 周りに人はいないにも関わらず、彼は""という名を持つ者に尋ねる。 そう問いかけられた、人ではないモノが彼のすぐ耳元で答えた。 《時空管理局という所らしいけど……ごめんなさい、それ以外はわからないわ》 少年の問いに答えたのは、彼の左耳についている、透き通った純白の、薄いリング状の形をした小さなイヤリングだった。 と呼ばれたそのイヤリングは、美しい女性の声で申し訳なさそうに答えた。 「そっか〜……は? わかんない?」 今度は、彼の右耳についている美しい光沢を放つ漆黒の八角星の形をした小さなイヤリングに尋ねる。 《俺に聞くな》 と呼ばれたイヤリングは、若い男性の声で呆れたように答える。 「う〜……そんなそっけなく言わないでよ……おなか空いたなぁ……」 一時間近く迷い続けて、精神的にきてしまったのか、もとい、間違いなく空腹の為に少年はとうとうその場に立ち尽くしてしまった。 なぜ彼が迷子になっているのか。 答えは簡単、ようやく目覚めた彼は、まだはっきりしない頭のままで、とりあえずおなかが空いていた為に食べ物を探しに部屋を出てしまった。 部屋を出る時にとに何か言われていた様な気がしないでもないが、 寝ぼけていた所為で話も聞かずにそのままフラフラと出て行ってしまっていた。 そして現在に至る、が呆れるのも無理はない。 「おい! そこの君!」 不意に後ろから声をかけられ、少年は頭に?マークを浮かばせつつ振り返る。 声の主は随分疲れているようで、息が途切れ途切れになっている。 背は自分と同じくらいか。 ……ん? 僕ってこんなに背が低かったっけ? 素朴な疑問に悩んでいたところで、が妙に冷めた声を発する。 《ああ、あなたですか》 「、知ってるの?」 少年は不思議そうに自分のデバイスに問いかける。 先程までずっと歩いて見て回ってきたが(正しくは迷っていただけだが)、見覚えのある物なんて窓から見える木ぐらいであった。 いや……それ以前に、自分の記憶の大部分が吹き飛んでしまっている様な気がする。 何か大事な事を忘れている気もするが、それも深い霧がかかっていてさっぱりわからなかった。 《ええ……まあ》 考えに浸っていたところでの返事が聞こえたので、考えるのをやめる事にした。 どうせ考えてもわからないのなら、今の状況を知る方が先だと本能的に感じ取る。 自分の背が低くなっているかもしれないという事は既に忘れてしまっているようだ。 「ふ〜ん……まあいいけど」 いや、よくないだろ、とかツッコミを入れたくなったではあるが、とりあえずやめておいた。 「……何がいいのか良くわからないが、勝手に出歩いて貰っては困る。 君達の処遇はまだ決まっていないんだ」 完全に忘れ去られていたクロノは、ようやく息を整えて注意する。 「というか、ここどこなんですか?」 は今までずっと悩んでいた事について聞いてみる。 (……デバイスを持っているのに、管理局の事を知らないのか?) 詳しい事は知らないが、時空管理局はかなり昔から存在している。 少なくとも、デバイスを持っている者で時空管理局の存在を知らない人間など、彼は見た事が無かった。 それ故に、少しあっけにとられていたが、とりあえず医務室へ戻ってもらわないと……と考えた。 「……こんな所で立ち話もなんだし、とりあえず医務室へ戻ってくれないか?」 「あっ! その前に何か食べ物が欲しいんですけど!」 いや、今はそんな事言ってる場合じゃないだろ、とまたしてもツッコミかけたは今回も我慢した。 「そ、そうだな……とりあえず医務室に持って来させるから、まずは戻ってくれ」 「それなら……」 なんとか承諾してくれたみたいだな、と納得して医務室へ戻る。 ……妙に疲労感を感じるのはなぜだろうか。 あとがきらしきもの 優「はい、という訳で第一話後編終了です!」 ク「……」 エ「ん? クロノ君どうかした?」 ク「いや、前編と後編の雰囲気が明らかに違いすぎるだろ、しかもなんか短いしな」 優「ギクッ」 ク「そんなありきたりな反応してもなにも面白くない」 優「うっ……いや、君は天然だから明るい雰囲気が似合うんです!」 ク「どんな言い訳だ……」 エ「まぁまぁ、暗いより明るい方がいいじゃない!」 優「お〜エイミィさん良い事言うね!」 ク「……まあ文才がないから仕方ないな」 優「がはっ(痛恨の一撃!優斗に9999のダメージ!!)」 エ「と、とりあえず次回もよろしくねっ」 BACK NEXT 『深淵の種 T』へ戻る |