海鳴市都市部スーパーMIKUNIYA 同日 同時刻


 海鳴市のとあるスーパーの一角で、四歳くらいだろうか、一人の女の子が車椅子に座っているはやてに尋ねる。

 「おねーちゃんはどーしておいすにすわってるの?」

 それはなんの邪気もなく、偏見もない、人が年を重ねると忘れてしまう純粋な心からの問いかけ。
 その女の子の、幼さからくる舌足らずの問いかけに対して、はやては優しく微笑みながら答える。

 「ん〜、まあちょっとな。 気になる?」
 「おねーちゃん、いつもおいすにすわってるから、たつのがしんどいの?」

 いつも、という事は、この子とは良く会っているのだろうか。
 どうもこの子を見るのは初めてで、後ろに立って車椅子を支えてくれているシャマルに目を遣る。
 シャマルなら知っているかも、と思って見た彼女の表情は、とても真剣で複雑で……痛々しさすら感じる表情だった。
 はやての視線に気づいたのか、シャマルは無理に笑顔を作る。
 なんや隠してるんがバレバレやな……と、今更の事を考えたが、追及せずに無垢な女の子に視線を戻した。

 「お姉ちゃんは訳ありなんや。 心配してくれておおきにな」
 「おおきに?」

 女の子が聞き慣れない言葉を聞いて、可愛らしく首を傾げながら聞き返す。
 訳あり、という言葉もこの子には難しい筈だが、おおきに、という不思議な言葉の方が、子どもの好奇心をくすぐる力が大きかったようである。

 「ありがとう、って意味やで」

 それをクスクス笑いながら見て、意味を教えてあげるはやて。
 保母さんってのはこんな可愛い子相手にしてんのかいな、と、少し保母さんという職業に魅力を感じたりもした。

 「ふ〜ん……じゃあ、おねーちゃんもおおきに!」

 そして、女の子は一つ新しい事を知ったのが嬉しいのか、満面の笑みを浮かべてはやてに言う。
 まぁ、ちゃんと意味はわかっていないのだろうが、この笑顔を見ているとそんな事はどうでもよくなった。
 すると、恐らくこの子の母親であろう女性が駆け寄ってきた。

 「こら、勝手にどこか行っちゃだめって言ってるでしょ?
  ごめんなさいね……何か失礼な事をしませんでしたか?」

 どうやらこの子を探し回っていたらしい。
 一つ我が子に注意をしてはやてを見た女性は、少し、ほんの少しだけ、はやてを凝視した。
 そして、妙に気を遣いながら言葉を選んで尋ねてくる。

 「いえ、可愛くてええ子ですね」
 「あら、ありがとうございます」

 まるで自分の事の様に嬉しそうに言う女性。
 ちょっと自慢気に、我が子の頭を撫でながらはやてに微笑み返す。

 「それじゃ……。 もう離れたらだめよ?」
 「あのねあのね、おかーさん、おねーちゃんにおしえてもらったの。 おおきに!」
 「あらあら、良かったわね」

 遠くなっていく声を聞きながら、はやては少し複雑な気持ちになる。

 (お母さん……かぁ)

 母親と心から嬉しそうに、はやてから教わった言葉を自慢気に言い続ける女の子。
 両親のいないはやてにとって、その光景はやけに遠くて、自分では手の届かないところにあるものだと感じた。

 それに、一瞬だけ見せたあの母親の目。
 もう慣れたといえば慣れたのだが、車椅子を使っていれば、何かしらの障害があると認識される。
 そして、普通とは違う、自分達とは違うという烙印が、自然と周囲から押されてしまう。
 慣れたといっても、やはり気持ちのいいモノではない。

 「はやてちゃん?」

 思考の渦に呑まれている時、シャマルが声をかけてくれて、ハッと現実に引き戻る。

 「ごめんな、ちょっと考え事してしもた」
 「そうですか……」
 「そやけど、最近皆、あんまりお家におらんようになってしもたね」

 母……ひいては家族の事を考えていた為か、近頃気になっていた事をシャマルに尋ねる。

 「……! えぇ、まぁその……なんでしょうね?」

 聞いてから、しもた、とはやては考えた。
 今はやての家族となってくれたシャマル達は、はやてに心配をかける事を酷く嫌う。

 「別に、私は全然ええよ。 皆が外でやりたい事とかあるんやったら、それは別に……」

 恐らく、なにか自分には言えない事で困っているのだろう、と察しはついているのだが……。
 それでもやっぱり、家族なのだ。 血は繋がってはいないけれど、心配にもなるし、相談して欲しい。
 でも、言いたくない事を聞く訳にもいかないし、無理に話させても意味がない。

 「はやてちゃん……」
 「私は、元々一人やったしな」

 そう、だから僅かな時間でもいい、傍に居てくれればそれでいい。
 それ以上の願い等、今のはやてには存在しない。
 一人ぼっちの孤独から救ってくれたシャマル達にやりたい事があるのなら、遠慮などせずに思い切りやって欲しかった。

 「はやてちゃん、大丈夫です! 今は、皆忙しいですけど……その、すぐにまた、きっと……」

 シャマルが必死にはやてを悲しませまいとする。
 それを見たはやては、少しの間キョトンとしていたが、ちょっと自虐的過ぎたかなと反省する。

 「……、そっか! シャマルがそう言うなら、そうなんやね」

 そして、シャマルの辛そうな顔はこれ以上見たくなかったので、笑って答えた。

 「今夜はすずかちゃんも来てくれるし、お肉はこんなもんかな?」
 「……はい」
 「外は寒いし、今夜はやっぱ、あったかお鍋やね」
 「はい」

 今日はすずかが家に来てくれる。
 らしくなかったなぁ、と反省して、今日は思い切り楽しむんや! と、一つ気合を入れた。


 買い物を済ませて、背後にシャマルが荷物を詰め込む音を聞きながら、はやては周りの視線を受け流す。
 程度の差こそあれど、やはり見られるのだ。
 気にしても仕方がないので無視するが……やっぱり嫌や。
 そう考えていると、最近知り合った男の子の顔が浮かんできた。

 (そういや、すずかちゃんもそうやったけど、君は全然車椅子の事気にしてへんかったな〜)

 が図書館を出て行って、結局戻ってこなかったのでそのまま挨拶もせずに帰った。
 戻ってきたシグナムの表情が、いつもより険しかったのが、少し気になったが。

 (……もっとお話ししたかったなぁ)

 ふと思って心の中で呟き、寒い筈なのに顔がちょっと熱くなった。

 (な、なに意識してんねん私は……)

 自分で自分に妙なツッコミを入れてみたが、気を紛らわせるにはどうにも不十分だった。
 とはいえ、あれだけはやてと抵抗なく話してくれる人物は、かなり稀だ。
 極自然に接してくれたは、いつの間にやらはやての中で妙に、そしてかなり気になる存在となっていた。

 (あ〜、今日はほんまおかしいわ私……。 にしても寒いな……冬も真っ盛りってことなんやろか?)

 今日は色々と考え込んでしまう日だ。
 これでは、せっかく来てくれるすずかと接するにもギクシャクするかもしれない。
 そう考えて、まだ渦巻いている思考を一刀両断にし、込み上げてきた寒さに身震いする。

 (……皆も、外で寒ないかなぁ?)

 冬の寒空を見上げて、想うは家族の事。
 帰ったら、うんとおいしいお鍋を作ってあげなあかんね、と、もう一つ気合をいれるはやてだった。



 海鳴市都市部強壮結界上空 同日 時刻18:41


 眼下に展開している結界を見下ろす、騎士甲冑を身に纏い、右手に片刃の剣を持った一人の女性。

 「強壮型の捕獲結界……ヴィータとザフィーラは閉じ込められたか」

 烈火の将と称されるシグナムが、仲間の安否を気遣う、が、それ程心配している訳でもない。
 ヴィータとザフィーラ、そしてシャマル。
 永きに亘って、共に闘ってきた仲間を信頼している証である。

 《Wahlen Sie Aktion》(行動の選択を)

 シグナムの相棒、炎の魔剣レヴァンティンが主に問う。

 「レヴァンティン、お前の主は、ここで退くような騎士だったか?」
 《Nein》(否)

 レヴァンティンの返答と共に、愛剣を持つ手に力を込めるシグナム。

 「そうだレヴァンティン。 私達は、今までもずっとそうしてきた」

 静かに、しかし揺るがぬ闘志と決意を秘めた声と共に魔法陣が浮かび上がる。
 レヴァンティンに弾丸を装填し、刃に魔力から変換させた炎を纏わせ、眼下の結界を見据える。


 バリアジャケットの換装を終えたなのはとフェイトがビルの屋上に降り立ち、が二人の傍まで駆けつける。

 「どう? 新しい相棒とバリアジャケットの感想は?」
 「うん、すっごくいい感じ!」
 「今までより、ずっと強い魔力を感じるよ」
 《レイジングハートとバルディッシュはどうだ?》
 《It is very good condition》(とても良い状態です)
 《No problem》(問題ない)
 《そう、なら大丈夫ね》
 「無視かよオイ、余裕だな」

 上空で待ち構えているヴィータが吐き捨てるように言う。
 それに対して、なのはとフェイトがヴィータとザフィーラを見据えて口を開く。

 「私達は、あなた達と戦いに来たわけじゃない。 まずは話を聞かせて」
 「闇の書の完成を目指してる理由を……」
 「あのさぁ、ベルカの諺にこういうのがあんだよ」

 なのはの言葉を遮るように、ヴィータが腕を組んで語り始める。
 その言葉にザフィーラが顔を向ける、この場面で諺……?

 「"和平の使者なら槍は持たない"」
 「「 ……? 」」
 「え」

 その言葉を聞いてなのはとフェイトはよくわからない、といった風に顔を見合わせて首を傾げる。
 唯一人、だけは自分の姉の様な存在で、今は槍の姿をしたデバイスを見つめているが。

 《……、なんで私を見るの》
 「いや、だって槍は持っちゃいけないって……」
 《……はぁ》
 《……素直過ぎるのも問題ね……》

 は、それはもう相当深い溜息を吐き、は呆れてしまった。

 「……私はあんなのにやられかけたのかよ」

 ヴィータは、以前の圧倒的な威圧感を放っていた彼とは似ても似つかない少年に呆れて、少々自己嫌悪になる。

 「あんなのってなんだ!」

 それを聞いて喰いかかる

 「まぁ良いけどよ」
 「流されたっ?!」
 「……

 なんかもう哀れになってきたにフェイトは同情する。

 「とにかく、話合いをしようってのに武器を持ってやって来る奴がいるか馬鹿! って意味だよ、バーカ!」
 「ばっ――!?」
 「なぁっ?! いきなり有無を言わさずに襲い掛かって来た子がそれを言う!?」

 そして、ヴィータのあまりにも子どもっぽい挑発に普通に引っ掛かるなのはと
 ……魔導師としては優秀そのものだが、まだまだ子どもという事である。

 《俺達は既に奴らに攻撃を仕掛けたんだ》
 《先手必勝は戦いの常套手段。 謝る必要はないけど、攻撃しといて話を聞けってのも都合が良過ぎるわね》
 「「 うっ…… 」」

 大人二人(?)の冷静な状況分析を聞いて、項垂れるなのはとだった。

 「……ちなみにヴィータ、それは諺では無く、小話の落ちだ」
 「うっせぇ! いんだよ細かい事は」

 こちらもこちらで、大人の冷静な指摘に外見相応の反応を見せるヴィータ。

 これでは全くもって緊張感のない修羅場になってしまいそうであったが、突如結界の一部が紫の閃光に破られて轟音を立てる。
 そして、向かいのビルの屋上に突っ込んだ閃光は粉塵を巻き上げ、その中からシグナムが姿を現し、ゆっくりと立ち上がる。

 「! シグナム……!」
 「……っ」
 「……」

 それを見たフェイトが驚き、は複雑な表情でシグナムを見、シグナムは真っ直ぐに敵をその双眼に捉える。

 「ユーノ君! クロノ君! 君! 手出さないでね! 私、あの子と一対一だから!」
 「……ちっ」

 なのはの挑戦に、ヴィータは舌打ちする。
 どうやらなのはの発言が気に入らなかったらしく、なのはを睨みつける。

 「えっ?」
 「マジか……」
 「マジだよ」

 その発言にとクロノは驚くが、ユーノは予想の範疇だったようで、それ程驚いてはいない。

 『アルフ、……。 私も……彼女と……』
 「……」
 「ああ……。 あたしも野郎に……ちょいと話がある」
 「えぇっ!?」
 「……」

 フェイトがシグナムを見据え、アルフはザフィーラを睨む。


 「……僕も、あの人達には借りがあるんだけどな」

 予想外の展開となってしまった事に、がぼやく。

 「ごめん、君」
 「今回は……譲って欲しい」
 『それに、あんたはなるべく戦闘を避けるべきなんだろ?』
 「そりゃそうだけど……」

 なのはとフェイトに頼まれ、アルフには尤もな事を言われたので、は下がるしかなくなった。
 もちろん、好き好んで戦いたい訳ではない。 結界も不安定なに不安要素が多いのは確かだ。
 まあ、いきなりぶっつけ本番で、カートリッジシステムという諸刃の刃を搭載したデバイスを使うなのはとフェイトも、危ないといえば危ないのだが。


 『ユーノ、、それなら丁度良い。 僕らで手分けして、闇の書の主を探すんだ』
 『闇の書の?』
 『む〜……』

 どうにも納得のいかないは剥れる……というより拗ねている。

 『連中は持っていない。 恐らく、もう一人の仲間か、主かがどこかにいる』

 だが、付き合っていたらキリがないとわかっているのか、クロノは華麗にスルーして話を進める。

 『わかった』
 『……戦闘を全部女性に任せるのって……』
 『……言うな
 『あはは……まあ、邪魔したらだめだと思うし……』

 三人とも、男としては女性を守るべきだという意識は当然あるが……、守るべき対象が強過ぎるのも確かなので、複雑なところである。

 『はぁ……で、どうするの?』
 『僕とで結界の外を探す、ユーノは中を』
 『わかった』
 『了解』


 《Master》

 クロノ達の話が纏まったところで、レイジングハートが声音を発する。

 「?」
 《Please call me “Cartridge Load”》(『カートリッジロード』を命じてください)
 「うん!」

 答えると同時にレイジングハートを構えるなのは。

 「レイジングハート! カートリッジロード!」
 《Load Cartridge》

 6連装オートマチックからカートリッジを装填、魔力総量が底上げされ、レイジングハートが桜色の魔力光に包まれる。

 《Sir?》
 「うん、私もだね」

 バルディッシュの問いかけにフェイトは瞬時に答え、強化された相棒を構える。

 「バルディッシュ、カートリッジロード!」
 《Load Cartridge》

 こちらは6連装リボルバーからカートリッジを装填、同じく魔力総量を底上げし、バルディッシュから金色の魔力光が溢れ輝く。

 「デバイスを強化してきたか、気をつけろ、ヴィータ」
 「言われなくても!」

 ザフィーラがヴィータに注意を促し、ヴィータは一喝、シグナムは無言でレヴァンティンを構える。

 そして、各々の魔力光を曳きながら冬の夜空へと飛翔する。



 「……」

 が心配そうに、結界内で激闘を繰り広げるフェイト達を見る(無論、魔力の在り処を探りながらではあるが)
 普通なら、この距離からだとフェイト達を目視するのは不可能だが、彼の視力からすれば、それ程難しい事では無い。

 《心配か?》
 「そりゃ……うん、心配だよ。 でも大丈夫、三人ともほんとに強いからね」
 《そうね……日に日に強くなってるわ、あの子達》
 《そうだな》


 「カートリッジシステムかぁ……かっこよかっ……」
 《俺達は無理だぞ、あんな物騒なもんは》
 《そうね〜、流石に遠慮するわ》
 「うっ……」

 見透かされていた。
 ていうかここまで見事に考えている事を読まれるのもなんだかな〜、と思う
 真面目に探していそうではないが、ちゃっかり目を光らせているあたり、抜け目ない三人。

 また少し探し回ってから、は妙な違和感を覚えて停止する。

 《?》
 《どうしたんだ?》
 「……なにか、いる」
 《!》
 《……》

 が辺りを見回し、が広域探査を精密探査に切り替える。

 (……なんだろう、なにがいるんだ……?)

 目では何も目視できないし、魔力も感じられない。
 だが、何か引っ掛かる。 勘というやつだった。

 『エイミィさん、僕の周囲でサーチャーに反応ないですか?』
 『え? 特に何も……ちょっと待ってね』
 「サーチャーにも反応なし……か」
 《お前の勘は良く当たる、油断するな》
 《……たしかに、なんか匂うわね》

 精密探査を行っているが言う。

 「! そこだ、!」

 アンノウンを見つけたが、瞬時にの尖端にフォーススフィアを集中する。

 《Force Bulitt》

 一見すれば何もいない空中に、誘導操作無しの魔力弾を連続発射する。
 すると、魔力弾は射線上でなにかに直撃、周囲に爆音が響き渡って魔力煙が立ち込める。

 「かくれんぼは終わりだよ」
 「そうだな」
 「えっ? くっ!」

 が声を発した直後に、背後から声が聞こえたので驚愕する。
 しかし振り向く間もなく、ほぼ零距離で魔力弾を撃ち込まれ、背に強烈な衝撃を受けて吹き飛ばされる。

 「っ……! くそっ!」

 なんとか空中で体勢を立て直す
 背中のバリアジャケットが丸く抉り取られていた。
 その事に戦慄を覚えたの眼に映ったのは、仮面をつけた青髪の男性だった。

 「誰だ! なんでこんな所にいる!?」
 「……」
 「……っ、あの人達の仲間か!?」
 「……」
 「くそ……話す気はないんだね」
 『君、何が起きたの?!』

 が何も言わない仮面の男に少し苛立った時、エイミィから連絡が入る。

 『アンノウンです! こちらに攻撃してきました』
 『敵なの!?』
 『わかりません。 でも、友好的じゃないのは確かです』
 『君、クロノが敵の一人を捕捉しました。
  ユーノ君はなのはさん達の遊撃として残しておきたいの……、今のあなたには酷だと思うけど……頼める?』

 に視線を送る。
 すると、二人は光を発する事で答えた。

 『了解です。 それと、伊達にAAA+はやってませんから』

 恐らくリンディは、結界の事を心配して言っているのだろう。
 だから、は出来るだけ余裕のある声で答えた。
 自分の所為で無駄な心配を抱えさせない為に。

 『ごめんなさい……』
 『大丈夫ですよ、リンディさん』
 『君、何かあったらすぐに連絡してね!』
 『わかりました!』

 そう言って回線を切ったは、先程からじっと動かない仮面の男を見据える。

 「なんでこんなところに隠れていたのか、話してください」
 「……」
 《どうしても、話す気はないようだな》
 《仕方ないわね。 手荒だけど、戦るしかないみたいよ》
 「……わかってる」

 が身構え、全身の神経を研ぎ澄まして集中する。

 (念話で話してる時も襲ってこなかったし、あの人の速度なら、今僕が集中してる間にも攻め込んでこれる……。
  なのに、それをしないって事は……)

 相手にはそれだけの自信と余裕がある、という事。
 確かに、相手はかなりの強敵だろう。
 あれだけの速度は、フェイトでもそうそう出せるものじゃない。
 ニアSか、シングルSか、それとも、それ以上か……。
 結界解除が危険な今、どう見積もっても荷が勝ち過ぎている相手だ。

 「……でも、退く訳にはいかないっ!」

 を強く握り締め、今も静止している仮面の男に戦いを挑んで行った。




 あとがきらしきもの

 優「やっぱこの話を書くのは難しい……」
 ユ「原作のストーリーはあまり崩したくないもんね」
 ク「もう崩れてるけどな」
 優「ぐぬぅ……これが限界で……す……ぜ……。
   ていうか、はやての性格が微妙に元気過ぎるような……StS見てるからかな〜」
 「それはなんとも……、ていうか僕どうなっちゃうのさ」
 優「それは……、真実はいつも一つ! みたいな?」
 「意味分かんないよ?」

 「えっ? あとがき終わり?」
 終わり!(死


 BACK  NEXT

 『深淵の種 U』へ戻る