時空管理局本局内医務室 時刻13:34 「ふぁ〜あ……二人ともおはよう……」 《、もうおはようじゃなくてこんにちはよ》 「……へ?」 はまだはっきりしない頭で医務室に設置されてある時計を見る。 どう見てももう昼の一時半を過ぎていた。 「あっちゃ〜……ちょっと寝すぎたかなー」 《お前のちょっとはどれだけ長いんだ》 と、鋭くツッコミを入れる。 「うっ……だって昨日は寝るのが遅かったし……」 正確には昨日ではなくて今日寝たのだが。 《とりあえず、顔を洗ってきなさい》 「ん、そうだね。あ、あと朝ご飯……じゃなかった、お昼ご飯頼んでおいてね」 《朝食と昼食ならそこに置いてある》 そう言われて、簡易テーブルの上に置いてある朝食と昼食を見るやいなや、物凄い勢いで顔を洗いに行く。 《……全く、なんであんなに食い意地が張ってるんだ》 呆れて溜息を吐く。 《沢山食べれるというのは元気な証拠よ》 《それはそうかもしれないけどな》 まるで夫婦のような会話をする2人。 話だけ聞いていれば、とてもデバイス同士が話をしているとは思えないだろう。 同時刻 時空管理局内通路 「で、君はまだ寝てるの?」 「さあ……昼食を持って行った時は寝てたな」 医務室へ向かうクロノとエイミィ。 早朝に彼が何か思い出していないか聞きに行ったのだが、肝心のは熟睡中で起きる気配が全く無かった。 デバイス達に寝かしておいてあげてと頼まれたので、とりあえず朝食を置いてアースラへ戻った。 現在アースラは整備中で、新しく増設される魔法修練場が完成間近である事から、本来ならクロノもエイミィも出歩ける状態ではないのだが。 それでもリンディは、 「こっちはなんとかしておくから、とりあえず話だけでも聞いておかないとね」 と、朝・昼はクロノに、そして今はクロノとエイミィに医務室へ行くように指示した。 今回、エイミィも行く事になったのは、彼らの処遇が上層部より知らされた為、 一人より二人の方が説明しやすいだろうというリンディの心配りである。 「でも良くこれだけ寝れるよね〜、私なら絶対目が覚めちゃうけどな」 「そういう仕事柄だからな、僕らは」 時空管理局は、その名の通り管理をする側。 であるから、こちらの都合に合わせてくれるような事件が起きる筈も無く、 休暇が予定されていようが、昼まで寝ていても大丈夫と言われようが、 いつ緊急で出動要請がかけられるかわかったものではない。 その為、管理局員には朝の定刻になれば目が覚める習慣が自然とついてしまう。 そうでもないと、折角休めると期待してたのに緊急事態発生で気分が最悪の状態で任務へ直行……。 なんていう悲惨な事態が日常茶飯事に起きてしまうのだった。 「着いた着いた、さあ〜君は起きてるかな……っと」 医務室のドアのロックを解除して、二人は中に入る。 「ふぁ、ふぇいみぃふぁん、ふほほ、ほふぁほー」 入るなりまたもや口に物を詰め込んだが反応する。 ……が、当然の事だが何を言ってるのかさっぱりわからない。 《、口に物を入れたまま喋るものじゃないって昨日も言ったでしょう?》 そう言われて、また一気に飲み込む。 あっ……と虚しく声を上げたエイミィをよそに、またしても喉に詰まらせている。 「んむ! んーんー!」 急いで水を飲む。 「ぷはー! ……また死ぬかと思った……」 《お前は学習というものを知らないのか……》 「いや、だってここのりょう」 《料理の味は俺にはわからんからとりあえず口に詰め込むなそれと一気に飲み込むな良く噛んで食べろわかったか?》 「はい……」 一体何の漫才だこれは。 どうもこの三人といると調子が狂う。 が、不思議とそれが心地の悪いものとは感じなかった。 「ぷっ……あははははははっ」 すると、横で一緒に固まっていたエイミィが急に笑い出した。 どうやらツボにはまったらしい。 「そ、そんなに笑わなくても……」 が顔を赤くして言う。 「いや、だってさっ……ひぃーおなか痛い〜」 まだ腹を抱えて笑っているエイミィにとりあえず注意をしたクロノは、本題に戻すべく話を切り替える。 「単刀直入に聞くが、何か思い出したことはないか? なんでもいいだが」 先程までの雰囲気とは打って変わって、どこか緊張感のある空気が漂う。 それを感じ取ったのか、もエイミィも表情を引き締める。 「これといって何も……」 「そうか……それなら仕方ないな。 とりあえず、君達の処遇が決まったからそれを伝えておく」 「処遇……?」 「あなた達は故意にしろ他意にしろ、ロストロギアと呼ばれる古代の遺産の中で眠っていた……。 管理局としては、あなた達の今後について検討する必要があったの」 《……正体がわからない以上、私達の事は慎重に考えざるを得ないという事ですか》 「そういう事になるな」 《それで? 俺達は今後どうなるんだ?》 「とりあえず、当分の間は保護観察が付く事になる」 「ほ、保護観察って?」 さっぱり事情が飲み込めていないは鸚鵡返しに尋ねる。 「簡単に言うと、保護観察中に守らないといけないルールが決められて、対象者はそれを遵守しなければいけないの。 そして、管理局は対象者がそれを守っているかどうか監視する……わかるかな?」 「つまり、そのルールってやつを守ってればいいの?」 「まあそういう事になるね」 そう答えて、エイミィは持ってきた書類をに渡す。 それには守らなければならない事や注意事項等が色々書いてあったが、リンディがわかり易くまとめて書いていた物だったので、 すぐに理解できたようだ。 とも書類を見ている……様に感じる。 「な〜んだ、簡単だね」 「でも、破った時のお仕置きはひどいよ〜」 「え……そ、そうなの?」 「エイミィ、余計な事は言わなくていい。あまり時間がないんだぞ」 「はいはい、全くお堅いんだから」 「なにかあったの?」 先程まで目を通していた書類を簡易テーブルの上に置き、はエイミィに尋ねる。 「大した事じゃないんだけどね。 私達はアースラっていう船に乗ってるんだけど、ちょ〜っとばかし面倒な事になってるんだなこれが」 そう言うと、エイミィは額に手を当てて溜息をつく。 「へ〜……あっ、じゃあ僕らにも何か手伝える事ってないかな?」 「え……いや、手伝うと言ってもな……」 予想外の発言にクロノは戸惑う。 《この書類に書いてある通りなら、俺達は管理局内なら局員付きで歩いて回ることができるはずだな》 《それに、私達も戦闘の手助けくらいならできるわ》 「……そうなのか?」 「どこから来たのかもわからないのに、戦い方だけ覚えてるなんて、なんだか変だけど」 苦笑いをしつつ、クロノの問いには答える。 「それなら丁度いいじゃない、クロノ君の相手になってもらえばいいよ」 「エイミィ……本気で言ってるのか?」 「だって、相手が誰もいないから困ってたんだし、クロノ君が手加減すればいいと思うけどね」 「それはそうだが……」 「そうそう、僕らを何かの役に立ててよ」 《借りは返さないとな》 《できる事があるなら、やらせて頂きたいわ》 それから少しばかり考えていたクロノだが、四人に上手く丸め込まれてとうとう承諾してしまった。 後で上からどやされるな……、と呟いて、三人を連れてアースラへ向かう事にした。 あとがきらしきもの 優「三話前編も無事終わりましたね〜」 エ「それにしても会話が多いね〜」 ク「説明文をほとんど入れてないな」 優「あ、いや、めんどかったわけじゃないんですよ?(汗)」 ク「……めんどかったんだな」 優「ぐ……その、管理人はあんまり説明つけ過ぎるの好きじゃないし、 会話を多く入れたほうがおもしろいかなーって思うんですが……」 エ「そこら辺の感想はメールでお知らせくださいね〜♪」 優「伝えてくれると嬉しいです。 今後の参考にもなるので!」 BACK NEXT 『深淵の種 T』へ戻る |