3:一歩前進 39℃に温度設定されたシャワーを全身に浴びながら、ユーノはとにかく無心になろうとした。 どうにも先程のなのはの浴衣姿が頭から離れてくれない。 煩悩を振り払うように、何度目か知れないくらいまた頭を振り、水温を一気に下げて冷水を頭からかぶる。 僕も男なんだな、と何を今更な事を自覚しながら少しの間ボーっとシャワーに打たれていた。 「……やっぱり、なのはは綺麗になったなぁ」 最近、幼馴染の少女達は随分女性らしくなってきた。 なのは・フェイト・はやては仕事関係でたまに会う事があり、その度女性らしさが際立っているように見える。 アリサとすずかも、本当にたまにしか会わないが、その所為か会うと余計にそう感じる。 というか、自分の親しい人間関係は女性がほぼ大半を占めているのはどうなのだろうか。 スクライアの一族で仲が良かった友人達はどっちつかず、というかそれ以前に、友達と呼べる存在はあまりいなかった。 小さな子達は随分とユーノを気に入ってくれていたので、大抵はその子達の子守をして、それ以外では年齢不相応に遺跡発掘の責任者を任されていた。 そんなユーノに近寄ろうとする同年代の者は、殆どいなかったと言って良い。要は、年の割に優秀過ぎた。 一族を離れてから親しい男性といえるのはクロノと……後誰がいるだろう。 クロノ以外、最近はアコース査察官とそれなりに交流があるが、この二人以外に誰かいるか、と聞かれればNOだ。 司書達とは上司と部下の関係で、強いて言っても息子か弟くらいと思われているだろう。 ちょっとこの人間関係は改善しないといけなさそうだ。流石にこれはどうかと思う。 しかし、今シャワーを浴びている細い体を鍛えるのもそうだが、とてもじゃないが友人を増やす暇も無い訳で。 それに、元々人付き合いが得意という訳では無い。寧ろ下手な方だ。 ……司書に幾分年の近い人がいるから、今度相談でもしてみようか、と考えるユーノだった。 なんともまあ、15歳の、まだ少年とだって十分言える者の考える事ではない気がしてならない。 それだけ特殊な環境下に身を置いているのは確かだが。 「そろそろ着替えないと」 いつまでも考えている訳にもいかない。 今日は、せっかくの休みになのはと過ごせるのだから、祭りを楽しもう。 とにかく、今はそうするのが最善だと割り切って、脱衣所で浴衣を着る。 着方は毎年着ているので覚えている。伊達に司書長はやっていない。知識と記憶力ならそれなりに自信はある。 女性のそれとは違い、男性の浴衣はそんなに難しくない為、さっと着替えて脱衣所を出た。 「おー。やっぱり似合ってるね、ユーノ」 「ユーノ君ほんと、絵になるわ〜」 「ありがとうございます」 ユーノは淡泊に返事をした。 性格なのか、ユーノは服装等に何かを求めるというのがあまりない。 ともあれ、淡い緑色を基調としたこの浴衣は自分に合っているとは思うが。魔力光も同じ色だし。 特に目立つような柄もなく、シンプルなデザインにまとまっている。 「すいません、わざわざ用意してもらって……」 「何言ってるの。寧ろ大歓迎よ♪」 「そうそう、気にする事ないって」 「は、はぁ……」 何が大歓迎なのかイマイチわからなかったが、とりあえず返事だけしておいた。 「それじゃなのは、そろそろ行こう」 時間も良い頃合いだと思うし、人が集まり始めているだろう。 そう思って話しかけたのだが、なのはから返事がない。 不思議に思って僅かに首を傾げてなのはを見ると、何と言うか、直立不動だった。 「な、なのは?」 「……」 呼びかけても返事がなく、ぽけーっとしたまま突っ立っているなのは。 なのはの視線が自分に注がれているものだとわかり、少し恥ずかしくなった。 「あ、あの……」 流石にこのままではどうしようもなく、困ってしまったので桃子と美由希に助けを求めるように二人を見る。 が、二人に笑顔のまま首を左右に振られたので、苦笑しつつ諦めた。 一つ溜息をつき、なのはの目の前で両手を叩いて音を鳴らした。 「ふぇっ?!」 急に響いた音に驚いたらしく、なのはが妙な声をあげて体をびくつかせた。 「えっと、あんまり見つめられると僕も恥ずかしいっていうか……ね?」 「あ、え、ぅぅ……ご、ごめんなさい……」 「いや、謝るほどの事じゃないんだけど……」 と、そこで話が途切れてしまい、二人とも顔を赤くして止まってしまった。 「あ〜、お二人さん? そろそろ祭りに行ってくれば?」 「え……は、はい、そうですね」 「私は二人が赤くなってるところをもっと見ていたいな〜」 「お、お母さん……」 美由希に呆れた声で言われ、ユーノは慌てつつ答えた。 その後、桃子がほにゃ〜っとした表情に手を添えて言った言葉を聞き、なのはは小さな声で呟いていた。 桃子さんは本当に若過ぎる気がする。 若いといえば、リンディさんも六年前から全く変っていないが。 「もう……。……ユーノ君、行こう?」 「う、うん、そうだね」 桃子さんは相変わらずだな、とか斜め上な事を考えていると、なのはが頬を染めながら少し上目遣いで囁くように言った。 その仕草に心を揺れ動かされながらも、努めて冷静に返事をし、なのはの隣を歩いて行く。 「お母さん達は行かないの?」 玄関でそれぞれ革草履を履いた後、なのはが思いついたように桃子と美由希に尋ねた。 「私達はもう少ししてから行くよ。お父さんが目を覚ますまで待っとかないと」 ああ、そういえば泡吹いてたな士郎さん。……あれは大丈夫なんだろうか。 「あの人なら大丈夫よユーノ君。気にしないで」 「え? あ、はい」 見事に心を読まれた。桃子さんって一体何者なんだろうかと本気で思う時がある。 なのはも頭が上がらないそうだし、母親は偉大だという事なのだろうか。 「それじゃ、行ってらっしゃい。 ユーノ君、なのはをお願いね」 「お母さん! 私もう15なんだよ!?」 「あら、15なんてまだ子どもよ」 「早く行ってきなって。私達の事は気にしなくても邪魔なんてしないから」 「お姉ちゃん!? も、もうっ! 行こうユーノ君!」 「うわっ?! ちょ、なのはっ!?」 親子漫才みたいなのを聞きながら、親子って良いなぁ、とかまたも斜め上な事を考えていたユーノ。 と、急になのはに手を引っ張られ、履き慣れない草履の御蔭でこけそうになりながらもなんとかついて行った。 「やーっと行ったね」 「ほんと、二人とも奥手なんだから」 僅かに苦笑しつつ、それでも微笑ましいなのはとユーノを温かく見送る。 そんな中、美由希がおもむろに携帯を取り出して電話をかける。 「あ、二人とも行ったよ〜」 『そうですか、ありがとうございます』 「気にしない気にしない。不甲斐無い妹の事、よろしくね〜」 『はい! 任せて下さい!』 元気な返事を聞き、満足そうに頷いて携帯を閉じる。 「あら? 邪魔はしないんじゃなかったの?」 「邪魔なんてしないよ。ただ、鈍感な困ったさん二人の背中をちょっと押すだけ」 美由希の返事にくすくす笑みを零しながら、そういう事ね、といった風に頷く桃子。 あれだけ周りをやきもきされるカップルもそうはいないとばかりに、とにかくくっつけたい美由希だった。 あの二人は本当にお似合いだと思う。今時少ない、純愛過ぎるカップルだ。 とはいえ、妹に先を越されている感は否めないので、微妙に凹みかけたりもしたが。 「はあ〜……なのはも恭ちゃんもいいなぁ〜……」 今頃は、兄の恭也も忍と一緒に祭りを楽しんでいるのだろう。 親友のエイミィも、クロノと婚約したと言っていたし。 考えれば考えるほど、一人だけ置いてけぼりにされた感じだ。 「大丈夫よ。美由希にもきっと素敵な人が見つかるから」 「そうだといいんだけどね」 がっくり肩を落とす美由希に、桃子が優しく諭してやる。と、 「なのはあああぁぁぁぁっ!! くそっ! あの生意気なガキはどこへ行ったっ!?」 士郎覚醒。なんかもう殺気だって異様なオーラを放っている。 「……はあ」 そんな親バカ全開の父に頭が痛くなった美由希。 盛大に溜息をつき、やれやれと両手を広げて首を振る。 「お父さん……ほんと子離れしなよ、いい加減に」 「なのははまだ15なんだぞ! 嫁にはやれん!」 「いや、まだ恋人にすらなってないよ、あの二人」 とは言ったものの、なのはとユーノはどう見ても恋人にしか見えないので無理もないかもしれない。 さっき二人が見つめあって真っ赤になっていた時も、まあ少しウブ過ぎる気もしたが、やっぱりお似合いな訳で。 「とにかくっ! あのガキの居場所を教え」 「あなた」 士郎が言いかけたところで、士郎を纏っていたオーラを一瞬にして消滅させる声がやけに響いた。 殺気を通り越して何か超越した雰囲気すら漂わせている桃子が極上の笑みを浮かべて士郎を見ている。 「ど、どうしたももこ……」 お父さん、声が上擦りまくっておかしいよ。 「娘の恋路を邪魔しようだなんて、良い度胸ね〜」 お母さん、眼が笑ってない、恐過ぎる。 「お、おれはなのはのことをおもってだな……」 「親バカが過ぎる人にはお仕置きが必要みたいね」 「お、おちつけももこっ! 美由希! 母さんを止めてくれっ!」 「……さてと、私も浴衣着てくるかな〜」 「みゆきいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃっっ!!」 断末魔の叫びを背に受けながら、あの娘達は上手くやってくれてるかなと、外部からの情報を完全にシャットアウトした。 さて、話は変わってここは神社への通り道。……の、脇にそれた藪の中。 現在、アリサ・フェイト・はやて・すずかの四人は息を潜めながら待ち伏せている。 アリサは真紅、フェイトは黒紫、はやては薄水、すずかは藍色を基調とした、思い思いの浴衣を身に纏いつつ。 各々が立派な浴衣を着ているのに、何故地面に寝そべってまでそんな所にいるのか、という野暮な質問は即刻却下。 理由なんて決まりきっている。なんとしてもこの機会にあの鈍感バカップルをくっつけてやる、それだけだ。 なのはとユーノがお祭りに行くなら、間違いなくここを通る。 毎年ここを通っているのだから当然、間違いない、きっと。 なので、色々と計画してきた作戦を尾行しつつ実行しようと意気込んでかなり前からここで待ち構えているのだが。 「……あああああもうっ! いつになったら来るのよ!? あの二人はっ!」 「アリサ、落ち着いて……」 「ん〜、流石に遅いやろこれは。もしかして、途中でヨロシクやってるんとちゃう?」 「はやてちゃん、それ以上はアウトだよ」 アリサが堪りかねて吼え、フェイトがなだめ、はやてがイケナイ方向に思考を直進させ、すずかが至ってマイペースに突っ込んだ。 「おかげで浴衣が泥だらけじゃないのっ!」 「義母さんに何て言おう……」 「浴衣って洗うの面倒やからな〜」 「自業自得な気もするけど」 すずかの一言に、残りの三人が揃って溜息をついた。 「リイン、まだいけるか〜?」 《勿論です! はやてちゃん!》 ちなみに、現在リインフォースUがなのはとユーノに魔力を察知されぬよう隠蔽魔法を行使中。 半実体化しているリインははやてとお揃いの浴衣を蒼天の書に読み込ませ、データリンクして着ている(?) 原理や理論はどうだとかそれは本当に可能なのかとかそういった野暮な質問はこれまた即刻却下だ。 「フェイトちゃん、リインがきつーなったらよろしくな〜」 「それは大丈夫。ね、バルディッシュ」 《Yes, sir》 最初は戸惑ってばかりだったフェイトも今ではやる気満々。バルディッシュも意外とノリノリだったりする、……何故だろう。 「ねえ、魔法で二人が今どこにいるのかとかわからないの?」 アリサが退屈そうにフェイトとはやてに尋ねる。 「出来ない事ないけど……」 「それしてもたら二人にどこにおるか気付かれてまうやんか」 探索魔法は魔力波を周囲に流して対象を探す為、使用するには一度隠蔽魔法を解かなければならない。 隠蔽魔法は使用者の周囲に魔力を漏らさないよう、不可視の膜のようなもので自身を包み込む為、魔力波を撃ち出す事が出来ない。 というか、探索魔法なんかした時点で場所がばれてしまうので、結局出来ないのだか。 「は〜……。流石にファンタジー全開の魔法も万能じゃないか」 「おとぎ話みたいに何でもありな魔法があったら苦労せぇへんって」 「それもそうね」 ちなみに、この物語に於ける魔法はプログラムを組んで行使するので、厳密にはファンタジー――空想・幻想――的では無い。 寧ろ科学的なものに近い。使用する為には数学・物理といった理数系の知識が必須となるのだし。 まあ、魔法資質を持っているかいないかという、先天的な要素が必要と言えばそうなのだが。 「あ、来たよ」 《なのはさんとユーノさんです〜》 「ほんまかっ!?」 「や〜〜〜っと来たわね」 「……いくよ、バルディッシュ!」 《Yes, sir!》 フェイトさん、気合い入れるのはわかりますが何する気ですか、ていうかどこ行く気ですか。 「や、やっとここまで来たね……」 「……まさか道間違えるなんてね……」 なのはとユーノの話声が聞こえ、一瞬空気が凍った。 「なによそれーっ!?」 「バカップルの惚気漫才聞きに来たんとちゃうんやでぇっ?!」 「なのは……ユーノ……」 「なのはちゃん、今日は髪下してるんだね〜」 各々が、実に個性良く反応していた。 「ご、ごめんねユーノ君……」 「気にしてないよ、だからそんなに謝らないで」 さて、こちらはアリサ達の悩みの種である鈍感バカップルの二人。 なのはが恥ずかしくて家を飛び出して行った時、本来なら曲がらなければならない所を大暴走で直進してしまい、ようやくおさまった頃には神社からはかなり離れてしまった所にまで行ってしまっていたのだった。 「にしても暑いね……」 「う、うん……そうだね……」 陽も落ち、夜の帳が下りてきているが、それでも蒸し暑さは続いている。 更に、全力疾走した後、結構長い距離を歩いてきたから余計に。 そんな中で、ユーノが手で仰いでいる仕草ですら、なのはには気になっていた。 動いた後なので確かに暑い。が、それ以上にユーノがすぐ隣にいるという事実が、なのはの体を火照らせていた。 (ユーノ君、やっぱり似合ってる……) 寧ろ似合い過ぎではないだろうか、これは。 あまり、というか全くと言っていい程着飾る事の無いユーノが、彼の優しい魔力光の色と同じ色彩の浴衣を身に纏っている。 家ではぽーっと見惚れてしまっていたが、横目に見るユーノも、何と言うかこう……輝いて見える。 無論、本当に輝いている訳では無い。ただ、なのはにはそう見えているのだから仕方ない。恋は盲目とは良く言ったものだ。 「なのは?」 「は、はいっ!」 ぽけーっとしていると、急に名を呼ばれて驚き、何故か生真面目に答えてしまった。 「大丈夫? ぼーっとしてるけど……」 「あ、えと……だ、大丈夫だよ!」 「そう……なら良かった」 囁くように言って、ユーノは優しく微笑んでくれた。 それだけで、なのはは嬉しいような恥ずかしいようなでクラクラしてしまう。 (私、どうしちゃったの……? 今日おかしいよ……) ユーノの一挙一動が、ことごとくなのはをおかしくしてしまう。 その所為なのか、自然とユーノに寄り添っていた。いつもなら、こんなに近づく事なんてできないのに。 ユーノが近過ぎると、意識し過ぎて頭がどうにかなってしまいそうになるから。 でも今日はそんな事は無くて。まあ、顔は十二分に真っ赤になって完熟しきったリンゴみたいにしまっているが。 「な、なのは?」 なのはの肩がユーノの二の腕に触れ、ユーノが驚いて少し表情を染めながらもなのはに尋ねてくる。 「い、いや……かな……?」 頭の中が真っ白になりそうなくらい恥ずかしくて、本気でおかしくなりそうだった。 「浴衣泥だらけにしてこんなとこに一時間もコソコソ隠れてたのは誰の為だと思ってんのよーっ!」 「なのはちゃんとユーノ君はそんな事知らないけどね」 「ほんっっっま久々に腹立ったわ! 一発ガツンと言うたらな気が済まへんっ!」 《はやてちゃん、落ち着いて下さいですー……》 「……なのはとユーノ、あんなにくっついて……良いなぁ……」 アリサとはやてが飛び出して行こうとするのを、すずかが二人の浴衣を掴んで止める。 相変わらずにこにこしながらも二人を引っ掴んで軽々と抑え込むすずかは何気に凄い気がする。 血気盛んなアリサとはやてだが、フェイトの一言を聞き洩らさなかった。 「……ちょっと待ちなさいフェイト、今何て?」 「え?」 「なのはちゃんとユーノ君がどないしてるて?」 「あの、その……くっついてて良いな〜って……くっついて?」 今度は時が止まった。 あの超が付くくらい奥手な二人がくっついてるとは、一体何があった。 このままだと何しに来たのかわからなくなるね〜、とか妙にずれた思考で考えるすずかがいたりもした。 「そ、そんな事ない……よ」 ユーノは、自分でも真っ赤な顔をしているのが手に取るようにわかった。 事実、顔がやたらめったらに熱い。これは、この国の気象の所為だけではない。 正直言って、なのはがこんなに大胆に来るとは思っても似なかった。 もう六年もの付き合いになるというのに、寄り添う事すら大胆だと認識するユーノもどうかと思うが。 とにかく、ユーノにとっては一大事だ。思考がパニックを起こさないよう高速演算でなんとか回避を試みる。 (お、落ち着けユーノ・スクライア……。ただなのはの肩が触れただけだ……ふ、触れた……だけ……) ユーノ、自ら地雷を踏んで自滅。状況が悪化してしまった。 「……良かった」 必死で落ち着こうとしていた時に、なのはが上目遣いではにかんだように微笑みながら、やけに艶っぽい声が聞こえた。 その所為でユーノもなのはと同じように完熟リンゴよろしくな状態へとまっしぐら。 ちなみに、なのはの声が艶っぽく聞こえたのは、やはり恋は盲目だった。 まあ、今のなのはは色っぽいと言えば十分に色っぽいのだが。 「……」 「……」 で、そのまま二人揃って恥ずかしさで一言も話せず、とにかく神社に向かって歩き続けた。 二人とも真っ赤になっているが、それでも寄り添ったまま、周囲に幸せオーラをばらまいていた。 「……ピンクのオーラがあの二人を包み込んでるわね」 「なんや、アリサちゃんにもそう見えるんかいな……。これは幻覚やなかったんやな……」 《なのはさんとユーノさん、らぶらぶです〜》 「……羨ましいな、なのはとユーノ……」 「これは一歩前進したってとこだね」 なのはとユーノの惚気にあてられたのか、練りに練った計画を実行するのを忘れている三人。 ただただ渇望の眼差しをなのはとユーノに向け続ける。 すずかは相変わらず楽しそうににこにこしたままだが。 「……なんで……なんで私達には相手が誰もいないのよーっ!?」 「ほんまやっ! こんなん不公平やないかーっ!」 「はやてはまだ良いよ……。アコース査察官とナカジマ三佐っていう可能性があるんだから……」 「ロッサは兄みたいや言うたやろ!? それにシャッハがおるし! 師匠は既婚者やっ!」 「私なんて、可能性すら見えないよ……」 「それなら私とアリサちゃんは影も形もないね」 「さらっとそんな事言わないでよっ!?」 なんかもう、悲しくなってくる。世界は本当に、こんな筈じゃない事ばっかりだった。 あとがきらしきもの ま、毎度どうも優斗で〜す。 あ〜……え〜……とりあえず、すいません_○__ 一ヵ月振りっすか……のおおおおおおおおおガッデエエエエエエムッ!!(殴 と、とにかくっ! 次回をお楽しみにっ! 次で祭りに行けたらな、と! ……やっとですね(殺 BACK NEXT 『ゆっくりと』へ戻る |